はじめに
マルチGPU技術について、古くは3dfxがVoodoo2の時にSLI（Scan Line Interleave）を実現していた。当時、私は貧乏だったので手が出ず、悶々とした日々を過ごした覚えがある。その後3dfxを吸収したNVIDIAがSLI（Scalable Link Interface）を、ATIがCrossFireを実現して素人PCユーザでも手を出しやすい環境が整ってきた。そもそも処理高速化手法のひとつとして並列コンピューティング（Dual CPUとか）があり、CPU同様、複数のGPUによる並列処理でグラフィック描画能力を大幅に向上させるという考え方が存在する。まあ、実際には2倍以上になることは稀で、いいところ1.5倍くらいも行けば良い方らしいが。
SLIおよびCrossFireを実現するには、対応するチップセットを搭載するマザーボード、対応した同一モデルのビデオカード複数枚、ブリッジケーブル、適切なドライバを用意する必要がある。
マザーボードの選択として、物理的なPCI Express x16のスロットを2個以上備え、論理的にx16のスロットを各々レーン数16で駆動できるIntel X38、X48、X58などが第一候補。
第二候補として、物理的なPCI Express x16のスロットを2個以上備え、論理的なところでPCIe3.0をサポートするIntel Z系列のマザーボードあたりか。この場合レーン数8で駆動することになるが、転送レート的にPCIe2.0の16レーンの場合と、PCIe3.0の8レーンの場合が双方向16GB/s（片方向8GB/s）でほぼ同じになる。
更にCrossFireの恩恵をフルに受けるためにはアプリケーション側でも対応が必要で、ドライバ側でもアプリケーション対応している場合がある。CrossFire対応をうたっていないアプリの場合、ドライバ側で「AFRモード」などを選んで強制的に適用することができる。
また、CrossFireを有効とする条件として、Window表示ではなくFullScreen表示を行う必要があることも注意事項となっている。
（某鑑定団風に）では、改めて今回の要件を再確認しよう。目的はOblivionおよびSkyrimをCrossFire環境下で動かすことである。これらアプリケーションはCrossFire非対応のため、AFRモードでの動作が前提となるが、果たしてDual GPUの効果や如何に。
最終更新日：2015年03月28日（土）
実例１：RADEON HD 6850でCrossFire
RADEON HD 6850でCrossFire環境を構築したのだが、Catalyst上ではON／OFFしか制御できない。とりあえずベンチマークを取ってみた詳細は以下のとおり。Core2 Quad（2.8GHz）− RADEON HD 6850
| 項目 | WindowsXP（32bit版） CrossFire |
WindowsXP（32bit版） Single |
| BIOHAZRD5（DX9版）ベンチ１ BIOHAZRD5（DX9版）ベンチ２ |
124.1fps 68.6fps |
117.7fps 70.0fps |
| MonsterHunterFrontier MonsterHunterFrontier絆 MonsterHunterFrontier大討伐 |
Score 24890 Score 23460 Score 22230 |
Score 15462 Score 12039 Score 11270 |
本題のCrossFire環境下でのOblivionのパフォーマンスはいかがなものかということで、Frapsのベンチマーク機能を用いてFPSを計測してみた。
実例２：RADEON R7 260XでCrossFire
RADEON R7 260XでCrossFire環境を構築したのだが、Catalyst上でモード選択ができない。具体的にはプルダウンメニューからデフォルト以外を選択すると、Catalystが強制終了してしまう。とりあえずベンチマークを取ってみた詳細は以下のとおり。64bit版Windows7 Professional Core i7-2600（3.4GHz） RADEON R7 260X
| 項目 | Windows7（64bit版） CrossFire |
Windows7（64bit版） Single |
| BIOHAZRD5（DX9版）ベンチ１ BIOHAZRD5（DX9版）ベンチ２ |
234.0fps 135.3fps |
173.1fps 146.6fps |
| MonsterHunterFrontier MonsterHunterFrontier絆 MonsterHunterFrontier大討伐 |
Score 37855 Score 33006 Score 30522 |
Score 11351 Score 10899 Score 13255 |
本題のCrossFire環境下でのOblivionのパフォーマンスはいかがなものかということで、Frapsのベンチマーク機能を用いてFPSを計測してみた。
続いてCrossFire環境下でのSkyrimのパフォーマンスはいかがなものかということで、Frapsのベンチマーク機能を用いてFPSを計測してみた。最初は1280x720の解像度で、RiverwoodからWhiterunの入口まで移動した際のFPSを測定してみた。が、ほぼ60FPSに張り付いていて比較にならない。
ただ、CrossFireの環境で気になったのだが、街中（あるいはロード画面をくぐる？）で移動中にカクつくようで、快適なプレイとは程遠い印象を受けた。
まとめ
2種類の環境でベンチマークをとってみたが、とても残念！なことにOblivionではCrossFireの恩恵を受けることができなかった。以前から言われているように、VRAMの多いビデオカード1枚で十分な模様。ドライバのバージョンや設定によって変わってくる可能性があるが、特にSkyrimではカクついて快適なプレイができない状態だった。